内田善美さんは…

漫画家。1953年10月28日生まれ。山梨県出身。女子美術大学卒。学生時代は一条ゆかりのもとでアシスタントをしていたこともある

1974年『りぼん』誌に投稿した「すみれ色の季節に」で“りぼん大賞”を受賞(4月号で発表)。同年、大学在学中であったが、『りぼん』7月号「なみの障害物レース」でデビュー。以後、『りぼん』『りぼんデラックス』誌で主に短編・中編作品を発表する。

その後、『リリカ』『ペーパームーン』といった絵を重視した個性あふれる雑誌で活躍。1978年に集英社で『ぶ~け』が創刊され、ここに舞台を移し、創刊号から1年間、表紙イラストを飾る。1982年から1983年にかけて、長編「星の時計のLiddell」を同誌に発表。アメリカを舞台にした幻想的・神秘的な作品で、代表作となる。

『ぶ~けせれくしょん』1984年1月20日号に発表した「草空間―めらんこりかるShopping―」を最後に、以後は作品を発表していない。その後はカレンダーなどイラストをわずかに発表しているが、それも1989年頃が最後となっている。

1997年10月1日に刊行された『クイック・ジャパン』vol.16 の「消えた漫画家」という連載の最終回で、内田善美さんを追った記事が発表された。それによると、ご本人の居場所はつきとめたものの直接は会えず、間に入った人とのやりとりで内田さんが「一人で静かに暮らしたい」と思っていることが伝えられた(「消えた漫画家3」大泉実成著、太田出版、1997年12月19日刊に収録)。

2013年3月2日に森下文化センターで開かれた「「りぼん」と「ぶ~け」とその時代~超絶美麗な少女マンガたち」というイベントに登壇した漫画家の松苗あけみさんが「内田善美さんはご実家でお元気にしていらっしゃる」と発言。松苗氏とは長い間の交流が続いているようで、久しぶりに確認された情報である。『芸術新潮』2014年2月号にて松苗氏が内田氏から受けた影響について語っており、そこに「銀河その星狩り」扉紙と「青の肖像」が掲載されていることから、許可が下りたものと思われる。

本人が復刊を望まなないため、単行本は入手が難しく、古書店で高値がついてしまっている。『りぼん』『ぶ~け』雑誌の付録のポスターやピンナップ、プレゼントのグッズなども多数あり、現在これらはすべてレア・アイテムとなっている。